研究概要 |
(1)T800H/#3631, AS4/PEEK, IM600/#133の3種類の炭素繊維強化複合材料,ならびに各複合材料を構成する炭素繊維, T800H, AS4, IM600に対し,Cu-Kαの特性X線を用いて回折プロファイルを測定した. 各複合材料と対応する炭素繊維の回折プロファイルはほぼ一致し,樹脂の影響がほとんどなかった. 以上より,複合材料中の繊維の応力測定にX線による評価法が有効であることが分かった. (2) Cu-Kαの特性X線で得られる3種類の複合材料の回折プロファイルは,(002)面に相当する2θ=26°付近で強い回折ピークが得られる似た形状となった. (101)面や(004)面の位置にも回折強度は弱いが,回折ピークが存在することがわかった. (3) 3種類の複合材料に対してCr-Kαの特性X線を用いて回折プロファイルを測定した. これにより(002)面に相当する回折ピークの位置2θが約37°と,Cu-Kα線に比べて10°ほど高角側となった. さらにT800H/#3631とIM600/#133は,(101)面や(004)面の回折ピークもCuよりも高角側でかつ高強度で得られ,複合材料中の繊維相応力の同定には, Cr-Kαの特性X線を用いた応力測定法が有用であることが分かった. (4) T800H/#3631の複合材料に対して,100μm×100μmの微小領域の回折プロファイルを放射光を用いて測定した. 測定手法として揺動法を用いることで,微小な照射領域でも(002)面の強い回折ピークが得られ,き裂先端微小領域の応力測定への適用可能性が分かった. これらの測定は, Cu-Kαの特性X線と同じ波長を持つ放射光で行ったもので,Crの場合と同じ波長で測定することにより,(002)面のみならず(101)面や(004)面の回折ピークもより高角側でかつ高強度に得られる可能性が推察された.
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