研究概要 |
【1】層間はく離き裂を有する界面完全固着の3次元不均質CFRPモデルの有限要素法解析を行った.2次元の不均質FRPモデルの結果と同様に,き裂長さにより応力分布形態が異なることが明らかになった.しかしながら2次元解析では,均質FRPモデルと不均質FRPの応力が等しくなる領域が存在したが,3次元では一致する領域は存在しない.しかし,応力をき裂幅方向に平均化することで一致する.また3次元不均質FRPの応力分布からFRPの破壊・疲労破面形態について説明できる. 【2】長いき裂を有する3次元不均質CFRPモデルの応力分布は,2次元モデルと同様に三つの領域に分けることができた. 1.き裂先端近傍のマトリックス相応力拡大係数K_mに支配される領域K_m-field(領域I) 2.き裂先端から若干離れた位置でK_mとは異なるがマトリックス相応力拡大係数K´_mで応力が支配される領域K´_m-fieldを含む領域(領域III) 3.領域Iから領域IIIに遷移する領域(領域II) 【3】短いき裂の応力分布では,2次元のときと同様の特性を示し,領域I〜IIIは存在するが,領域IIIに含まれるK´_m-fieldが消滅した. 【4】【2】,【3】から長繊維強化複合材料において,き裂先端極近傍の非常に小さいK_m-filedの存在よりも,その外側にあるK´_m-fieldの存在が複合材料の破壊における線形破壊力学の適用性を支配している.このことは複合材料を構成する材料特性,構造により線形破壊力学が適用できるき裂長さが変化すること示すことが分かった. 【5】3次元不均質FRPモデルで得られる応力分布を,繊維の含有率を考慮した重みつき平均を行うことで,2次元で得られる応力分布に近い分布形状が得られる.逆にこのことは,繊維一本を含むユニットセルの応力場と2次元不均質FRPの解析結果から3次元の応力分布を推測できることを示唆しており,より簡便な応力場の予測,損傷領域の簡便予測法の可能性を見出した.
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