知的複合材料のマクロな力学特性・変形特性をミクロな構成要素の特性から評価し、さらには、外部の温度場・磁場・力場の変化といった環境の変化に適応して、能動的に振舞う機能を設計するための有効な方法論を提案することを目的として、題目の研究を行なった。 本年度(平成13年度)は、基礎的知見の獲得と複合材料の構成材料の特性評価を目的として以下の計画で研究を進めた。 1.温度変化や応力により誘起される形状記憶効果に対して、熱・力学特性を連成的に扱う問題に対して、均質化法によるアプローチのための定式化を行なった。次年度(平成14年度)は、応答の敏速さから注目されている磁気ひずみを用いる形状記憶合金についても視野に入れ、一般的な立場から、熱・力学・電磁気学的特性を連成的に扱う問題に対して、均質化法定式化を行なう計画である。 2.熱・力学特性を連成的に扱うモデルに限定して、実際の材料への適用を想定してシミュレーションを行なった。本研究では、降伏の判定に伴う計算時間の増大を避けるためにひずみ速度依存性を考慮した弾粘塑性体に対する均質化法による定式化を行い、2次元Crossed Triangle要素を用いた均質化法プログラムを作成し、解析を動作確認を行なった。これと並行して、構成材料の熱伝導特性からマクロ的な熱伝導特性と局所温度分布を評価するための均質化法を用いた熱伝導解析プログラムを作成し、動作確認を行なった。 3.油圧サーボ試験機および小型材料試験機の較正と予備実験を行なった。次年度は、複合材料の母材を構成する樹脂と、センサー・アクチュエーターの役割を担う形状記憶合金の基本特性を温度変化、荷重変化による熱的、力学的条件を制御することにより調べ、実験によって、得られた結果から形状記憶合金の構成式のモデル化を行なう計画である。
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