研究概要 |
磁気軸受スピンドルを搭載したマシニングセンタにより,MQLを適用し,エンドミル径10mmで穴径15mm,深さ20mmの止まり穴をヘリカル送りエンドミル加工し,以下の結果を得た. ●ヘリカル送りエンドミル加工時の加工面の仕上げ面性状およびサーモグラフィーによる加工時の加工穴出口の温度測定を行った.また,穴径,真円度,真直度について通常ドリル加工との比較も行った.その結果,アルミ合金を対象とした場合,ドライ加工では工具へのアルミの凝着が生じやすく加工面のむしれや穴径の拡大につながりやすいが,MQLにより加工面性状や形状精度はフラッドクーラントと同等の加工が可能であることが明かとなった.また,穴加工の際には,穴内の工具に効果的にMQLを到達させることが必要である.そのためには,供給するノズルは工具をはさんだ対向する2本とし,工具軸から10°程度傾けて穴入口から穴内に向けて噴射し,かつ工具は間欠的に穴入り口まで引き上げることによりMQLを供給することが効果的であることが明かとなった. ●MQLに用いられるオイル分は粒径数ミクロンの霧状であるため,そのうちの工具や被削材に付着しなかったものは空気中に飛散しやすい特徴を持つ.このことは作業環境を良好に保つ点ではマイナス要因となる.そこで加工中に空気中へ飛散するオイルミストの量をミスト濃度測定器により測定した.エアのみを噴射する場合に比べ,MQLでは明らかにミスト濃度が高いことが明らかとなった.特に0.3から1.0μmのミストの個数が多く,0.3μmのミストは30万個/L以上であることがわかった. ●有限要素法によるエンドミル加工時の工具の温度解析を行った.能率を同一とする拘束条件下では,一刃あたりの送りを大きく,半径切り込みを小さく設定することにより工具温度の上昇が抑えられる.
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