研究概要 |
本研究は,全方向輪帯集光スポット照射系と暗視野広角度受光系を組み合わせた暗視野輪帯光学系を用いる新たな欠陥計測原理に基づき,欠陥の方向性の影響を受けることなく,0.1μm以下といった微小なSiウェハ加工表面欠陥を,その識別も含め高速に計測可能な手法の確立を目的とした基礎研究である.本年度は測定原理の確立,全方向輪帯集光スポット照射系の設計・試作を行い以下のような研究成果が得られた. (1)計算機シミュレーションによる測定原理の確立 理論解析の第一段階として,電磁波散乱理論に基づいた計算機シミュレーションを行い,入射角,光源波長,偏光などの光学パラメータと種々の微小表面欠陥との光散乱特性について基礎解析を行った.これから,NA0.95の対物レンズで全方位輪帯入射を実現することにより,欠陥の方向性の影響を受けることなく,高感度で欠陥の検出が可能であることが分かった. (2)全方向輪帯集光スポツト照射系の設計・試作 上述のシミュレーション結果に基づき,高NA対物レンズ,偏光子,高精度デフォーカス量調整用ピエゾアクチュエータ等を組み合わせた全方向輪帯集光スポット照射系の設計・試作を行なった.ここでは,輪帯ビームを得るために,φ1200mmの中央部円形遮光フィルタを採用した.そして,NA0.95の対物レンズを用いて,入射角度70の斜方入射ビームを輪帯状に全方位から実現できること,高精度デフォーカス量調整用ピエゾアクチュエータにより,その輪帯照射スポットを高精度に制御可能であることが分かった.
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