研究概要 |
マルチワイヤソーの高精度・高効率化を目的とし,各種シライシング実験および有限要素解析を行った。得られた主な結果を以下に示す. 1 束状被削材方式に関する研究(ワーク回転型マルチワイヤソー) (1)束状被削材方式を採用することで,高送り速度にも容易に対応可能であり,スライシング後のウェハの散乱および切り飛ばしも生じない. (2)束状被削材の外周を被覆することにより,安定したスライシング性能が期待できる. (3)束状被削材方式を採用することで,スライシング速度の大幅な向上が期待できる. (4)束状被削材方式を採用しても,被削材回転方式と同程度(従来方式の約半分)のスライシング面粗さが得られる. 2 ガイドローラの溝形状に関する研究 (1)溝の角度による大きな影響は認められなかった. (2)V溝に比べ,底部に丸みをおびたU溝を採用することで,ガイドローラの変形量は小さくなる. 3 磁気援用スライシングに関する研究 (1)スライシング性能は劣るものの,砥粒の代替物として砂鉄を使用しても十分スライシング可能である. (2)砂鉄の微細化,高硬度化により,さらに応用範囲が広がるものと考えられる. 4 ラッピング効果に関する研究(ワーク回転型マルチワイヤソー) (1)被削材を回転させることで,既スライシング面へのラッピング効果が確認できた. (2)被削材回転速度はラッピング効果に大きな影響をおよぼす. (3)ワイヤ走行速度がラッピング効果におよぼす影響は小さい. 5 スラリーの再生・再利用に関する研究 (1)カーフロスを除去することでスラリーの再利用が可能となり,環境負荷の低減が期待できる. (2)砥粒,カーフロス,油成分に分離することで,スラリーの廃棄処理は容易となる.
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