研究概要 |
携帯情報端末機器の小型化に伴い,当該機器の中のプリント基板も小型化が求められている.そのためプリント基板において,回路接続用穴の小径化および基板内回路の超多層化などの実装密度向上が望まれている.そこで短パルス化が具現化されてきた炭酸ガスレーザを用いたプリント基板の回路接続用穴あけに取り組んだ.また超多層回路化することによるプリント基板の剛性低下も懸念されるため,剛性確保のためにアラミド繊維を強化材としたAFRPをプリント基板用材料として使用することも提案した.本技術を実用化するためには,レーザ加工された穴で回路接続用としての十分な品質確保が可能であるかがカギとなる.そこで加工された穴形状,壁面品質を有限要素法モデルで評価する手法を提案した.提案した手法は,レーザ加工条件の違いによる加工穴形状の差を,後工程で形成された回路銅メッキ内に発生する熱応力で評価するものである.提案した手法を用いて評価した結果と,実際の信頼性試験の結果が良く一致することを確認した.またアラミド繊維を強化材とし追加しても,十分なレーザ加工穴品質が確保できることも実験的に確認した.アラミド繊維としてはケブラーおよびテクノーラ繊維の二種類を用いてプリント基板を試作した.その結果,特にテクノーラ繊維がレーザ加工性に優れていることがわかった.しかしながら,コンベンショナルなドリル工具を用いて加工する場合は,ケブラー繊維を強化材に用いたプリント基板の方が優れた品質となることもわかった.
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