研究概要 |
補助電極法を用いた絶縁性セラミックスの放電加工における加工プロセスは,絶縁性セラミックス表面に導電性の表面層が形成されることによって加工が可能となる。この導電性の表面層は抵抗が高いために,通常の金属加工では25V程度である放電電圧が50V以上にまで達する。これによって,金属加工では生じなかったいくつかの問題が生じる。その一つとして,表面が抵抗体であるため短絡によっても電圧が0Vとならないために,短絡状態を回避する制御が動作しない。この対策として,粉末混入加工を実施した。数種類の粉末でも加工の結果,油中での分散性の高いZrB_2粉末を混入した場合に狭間隙での加工が可能となり加工速度は大きく向上しヘリカル研削によりSi_3N_4の加工した場合と同程度までの速度を得た。この結果から,適切に極間を保つことができれば,絶縁性セラミックスの加工が実用的な速度をえられることが確認できた。通常の加工油中でこれを実現するための放電制御回路を試作するためには,加工に直接寄与する表面層の抵抗状態を把握しておく必要ある。次の方法により比抵抗値の測定を試みた。あらかじめ作成した導電性の表面層に対して給電を一点として,放電位置を変化および加工機の内部抵抗を任意に変化させ,放電を行なった。この時の電流値および放電電圧の実測値および膜厚により比抵抗値を算出した。その結果,種々の条件で作成した表面層の比抵抗測定した結果,膜厚が異なる状態であっても比抵抗はほぼ同じであり,放電加工の限界の比抵抗値である10^<-2>Ωcm程度であることが明らかとなった。
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