研究概要 |
機械構造物に発生する振動を抑制することは,機械の高精度化・高能率化および寿命延長による省資源化などを可能にするため重要度が高い.機械構造物の減衰能向上については多くの研究が行われているが,構造が比較的単純で,適応性に優れている固体の衝突を利用したダンパに注目して研究を進めてきた.昨年度までは,モデル構造物に充てんした粒子の粒径や充てん率などが減衰特性に及ぼす影響について明らかにした.本年度からは,粒子のみを充てんした場合の減衰特性についてさらに検討を進めるとともに,制振材料の適用による特性改善について検討した. 1.粒子充てん構造物の振動減衰特性 (1)減衰特性評価法 充てん粒子の材質や粒径を変化させることにより得られる非常に広範な減衰特性を,自由振動応答における減衰時間および減衰波形の面積を考慮した方法により適切かつ簡便に評価できる評価法について検討した. (2)粒子材質の影響 減衰能向上に効果的な粒子充てん構造物を見い出すために,充てん粒子の材質および粒径を変化させて減衰特性を調べた.減衰特性は,充てん粒子材質・粒径によって大きく異なるなどの知見が得られた. (3)加振方法・支持方式の影響 構造材の加振方法や支持方式も粒子充てん構造物の減衰特性に影響を及ぼすことが考えられる.そこで構造材の加振方向および支持方式が減衰特性に及ぼす影響について検討した. 2.制振材料の適用 (1)実験装置の構築及び試料の準備・作製 構造材に充てんする透明かつ硬さ変化の可能な制振材料について検討するとともに,真空ポンプおよび真空容器などを組み合わせて制振材料内に生じる気泡の除去装置を作製した.また粒子および制振材料の充てん方法について検討し,数種類のモデル構造物を作製した. (2)加振実験 はじめに制振材料のみを構造物に充てんした場合の振動減衰特性について検討した.続いて,作製した数種類の制振材料を適用した粒子充てん構造物について加振実験を行い,振動減衰特性を検討した.
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