研究概要 |
本研究では,使用環境や作業に応じて,ロボットが最適な能力を発揮できるように,ロボットのメカニズムそのものが構造を調整可能となる多機能なロボットメカニズムの実現を目的とし,可変構造メカニズムとして用いるパラレルメカニズムを対象として,機構の構造と特性との関係を明らかにする方法を検討した. 可変構造パラレルメカニズムには,高精度な作業が要求されることから,出力点の剛性を把握し,適切な寸法,姿勢を取ることは重要である.しかし,多自由度なメカニズムにおいては出力方向も複数となるため,その剛性を評価することは容易でない.特に,可変構造メカニズムにおいては,機構の寸法,対偶構成も大きく変化することから,その変化は複雑である.そこで,本研究では先に提案した駆動特性の評価法を応用し,ロボットメカニズムの先端に作用する任意方向の負荷に対して生じる変形量を簡便に評価する方法を導いた.同方法を用いれば,任意の自由度,任意の姿勢のロボットメカニズムを対象として,負荷に対する出力変位量,すなわち,剛性を評価可能である.実際に,同評価法を用いて,基本となるパラレルメカニズムの作業領域全般にわたる剛性の評価を行い,適切な寸法,姿勢が把握可能であることを確認した. また,対象とする可変構造パラレルメカニズムでは動作が高速であるため,動的な影響も無視し得ない.そこで,出力点が等方的に速度および加速度を発生するために,入力軸に必要となる動的トルクを,機構の寸法変化に拘わらず,簡便に求める方法を提案した.現在,同方法を用いて機構の寸法,姿勢を適切に決定する方法を検討している. さらに,以上の結果より試作される可変構造メカニズムを有するパラレルメカニズムの制御を行うための,運動解析シミュレーションプログラムの構築を行った.
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