研究概要 |
本年度はウォームの歯形変化や転位量が動力伝達効率にどのように影響するかを調べるために,ウォームの歯形を台形,凸および凹とし,それぞれ転位量を変化させた1条ウォーム歯車対を製作し,効率試験を行った.その結果,転位を与えなかった歯車対は,歯形が違うにもかかわらず動力伝達効率にさほど違いが見られなかった.ウォームの歯形を凸または凹とし,それぞれ負転位,正転位を与えた歯車対は,転位をしていない歯車対よりも最大で5%,平均的には2〜3%の効率向上が見られた.その理由は,ウォームの歯形を凸または凹とし,それぞれ負転位,正転位を与えた場合は接触状態がすべり速度の方向に幅広くなり,ウォームとウォームホイールの歯面間に油膜が形成されやすいために効率が向上したと思われる. また,入り口側がはすば歯車,出口側がウォーム歯車といった複合歯面をもつウォーム歯車対と現在よく使用されているインボリュートウォームとはすば歯車の歯車対を製作し,効率試験を行った.複合歯面をもつウォームホイールは,射出成形で製作できるため,量産の場合,製作コストを著しく抑えることができる.複合歯面をもつ歯車対の効率はウォーム歯車対とほとんど同じであった.インボリュートウォームとはすば歯車の歯車対は軽荷重ではウォーム歯車よりも2%程度効率が良いが荷重の増加にともない,効率が減少し,最終的にはウォーム歯車よりも2%さがった.この理由はインボリュートウォームとはすば歯車の歯車対はウォームホイールの歯厚が薄いために荷重が増加するにともなって歯が倒れ,片当たりが強くなっていくために効率が減少したと考えられる.
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