本研究では、設計者が行った作業を、その手順や設計対象モデルと関連づけた文書として蓄積することにより、設計文書の体系的管理と再利用を支援する設計文書作成管理システムの作成を目的としている。今年度は、設計者の思考過程モデルに関する分析を行うと共に、実際の設計作業を行っている技術者に利用可能なレベルのプロトタイプシステムの作成を行った。 既存のシステムでは、設計対象モデルを中心とした設計文書の構造化を図ってきたが、システムの構成上、インタフェースが画一的であり、獲得した知識や文書の可搬性に乏しく、異なるユーザ間での知識流通の枠組みに関する検討が不十分であった。よって、本年度は、紙をメタファとしてマルチメディア情報を統合してエディットできる環境であるIntelligent Padを用いたGUIの実装を提案すると共に、知識記述の枠組みを再検討し、XML(拡張マークアップ言語)を用いた知識記述の枠組みを提案した。Intelligent Padは、様々な機能(画像表示、グラフ表示など)を持つPadと呼ばれる部品を重ね合わせる事により、ユーザはGUIを容易に変更することができる。また、文書などのデータとPadのGUIを合わせた形でデータの保存が可能であり、知識の流通という観点からも優れている。 また、知識の再利用を支援するという観点から、設計者の思考過程モデルに関する分析を行い、文書中の作業を分類する方法を提案した。この分類を用いることにより、より適切な文書をユーザに提示することが可能になり、文書の有効な再利用が可能になる。
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