研究概要 |
本研究は,高機能性プラズマ流による難処理有害物質の無害化に向けた新たな学問体系の構築を目的とする.本年度では,複数種のガスや有害微粒子,イオンやラジカル種が混在した高反応性電磁熱流動場に関する詳細な解明を行うために,高電圧高周波電源を購入し環境調和型大気圧非平衡プラズマ流発生装置を新たに設計作製した.本装置は,電極間距離を0.01mm単位で可変,印加電圧波形は鋸波,正弦波,方形波の3種が可能で,方形波の印加時間比が可変,印加電圧周波数は最大25kHz,最大印加電圧10kV,電極形状の交換が容易,ガス流量が可変,ガス種の交換及び混合が可能,オゾンやNOx等の濃度測定が可能といった様々な特徴を持つ.本装置により,広範な作動条件と放電状態の相関を詳細かつ基礎的に検討することが可能となった. これより,放電状態がガスの流動場やラジカルにより大きな影響を受けることを示唆する新たな知見が得られた.具体的には以下の事が明らかにされた. 1.電極に印加する電圧の掃引速度が0.1kV/s〜10kV/sの場合放電開始電圧はパッシェンの法則と一致するが,100kV/s〜10000kV/sでは一致せず大きく上昇する.一方,印加する電圧の周波数や波形を変化させた場合,いずれも放電開始電庄はパッシェンの法則と概ね一致する. 2.ストリーマ理論を適用し,荷電粒子により発生する内部電界の解析を行った結果,外部電界の0.1〜0.2倍程度である. 3.静止雰囲気中での放電開始電圧は,測定直前に一定時間放電させることで低下する.これは,発生したラジカルの影響が要因であると考えられる.また,ガス流量がある一定以上になると放電開始電圧の再現性が良好となり,パッシェンの法則に概ね一致することが示された. 4.反応場の支配因子となるラジカル濃度分布の解析を行うために,反応流動場の数値モデルを構築した.
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