研究概要 |
工業上多用されている不足膨張噴流からの騒音の発生メカニズムを解明することが本研究の目的である。超音速噴流は近年の産業機械の随所に見られ、その発達にこの種の噴流の研究は欠かせない。特に、工業上生じる噴流は非定常な挙動を示す不足膨張噴流の場合が多く、国内外において多くの研究がなされている。しかしながら、噴流の振動およびそれに伴う騒音に関しては、未解明な点が多い。従来行われているこの種の研究対象は、主に円形あるいは矩形のノズルより放出される不足膨張噴流であり、実験および数値計算により解析がなされてきた。これまでの研究により、騒音の発生と噴流の挙動が密接に関係していることが指摘されている。そこで、噴流内の衝撃波および噴流境界に生じる渦の挙動と騒音との関係を詳細に把握するために、放射状の不足膨張噴流を発生させ流れ場を実験的に解析した。また、このような噴流をTVD法により数値的に解析し、実験結果と比較検討を行った。 報告者が12年度に行った予備実験をもとに、スリツト状の円形ノズル(ノズル直径:D=12mmスリット幅:L=0〜3mm)を新たに設計した。新たなノズルの使用により、十分理想的な放射状噴流を得ることができた。スリット状円形ノズルを用いて、放射状不足膨張噴流を発生させシャドウグラフ法により可視化を行った。更に、可視化法の工夫により放射状噴流の側面と正面の2方向からの同時撮影を行った。可視,1化結果より、放射状噴流は非常に不安定であり、不足膨張噴流特有のセル構造は第2セルまでしか観察することがでず、渦が支配的な流れ場であることがわかった。実験対象である放射状不足膨張噴流を様々な拘束条件のもとに数値的にシミュレーションを行った。基礎式にはオイラーの式を用い、乱流モデルを付加せずに行った。その結果、不足膨張噴流のセル構造や噴流境界より発生する渦の挙動に関して、実験結果と定性的な一致が得られた。
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