研究概要 |
本研究は,テーパー状流路構造を持つ熱駆動型マイクロポンプを内蔵したマイクロチャンネル冷却システムを提案し,廃熱を利用した自律的な高性能除熱システムの実現を目指すものである. 本年度は,シリコン基盤に先細末広型のテーパー流路を微細加工技術を用いて形成し,その上にガラス板を陽極接合して製作された熱駆動型マイクロポンプの特性を実験的に調べた.試験流路は幅500μm,深さ250μm,マイクロポンプ部のスロート幅は20, 40, 80, 100, 160μmの5種類を製作した. 作動液体としてエタノールを用いた場合,マイクロポンプ部の局所加熱に対して,蒸気泡の発生,継続的な振動を観察し,作動液体がテーパー部の流路幅が広がる方向へ輸送されることが確認された.マイクロポンプとしての性能は最大吐出量と最大負荷圧力(ヘッド)で評価され,スロート径160μmの場合,25μl/min, 140Pa, スロート径20μmの場合, 60μl/min, 500Paが実験的に求められた. また,作動流体を水とした場合,140μl/min, 4000Paを超えるポンプ性能が発揮され,除熱デバイスの構築には表面張力,潜熱が大きな水が適することが分かった. さらに,この熱駆動型マイクロポンプを並列に並べ,除熱デバイスを設計するため,5個のテーパー流路を並列に接続したマイクロポンプを製作し,ポンプ動作を確認した.これより,テーパー流路の並列接続が流量の増加につながり,除熱デバイスへの拡張に支障が無いことが確認された.
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