研究概要 |
本研究は,熱交換器の熱媒体として用いられているブラインに対して流動抵抗低減効果を利用することにより配管網における効率的な熱エネルギー輸送方法の開発を目的としている.特に,実際のビル空調システム等に用いられているブラインは0℃以下の低温状態で使用される場合が多いため,この研究には,0℃以下の状態における実験が必要不可欠である. 本研究の期間のうち,今年度はまず,ブラインとして一般的に用いられているエチレングリコール水溶液に対して最適な流動抵抗低減剤の選定を行うため,0℃付近までの冷却が可能な既設の直管試験部による実験装置を用いて,様々な種類の界面活性剤をエチレングリコール水溶液に添加した場合の流動抵抗と熱伝達特性に関する予備実験を行い,エチレングリコール水溶液に対して,十分な流動抵抗低減効果が得られる新たな界面活性剤の選定を行った.なお,界面活性剤の選定と同時に,最も流動抵抗低減効果が得られる最適な界面活性剤の添加濃度や,エチレングリコール濃度の検討も行った.引き続き,選定した界面活性剤添加エチレングリコール水溶液の基礎データとして,実際の使用温度範囲である0℃以下の状態における粘性,熱伝導率,比熱,密度等の物性値の測定を行った.さらに,この物性値の測定と同時に,0℃以下の低温状態における界面活性剤添加エチレングリコール水溶液の流動抵抗と熱伝達特性の測定を行うための新たな実験装置を,本研究費で新たに購入した冷温恒温水槽および循環送液ポンプを用いて作成を行った.
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