研究概要 |
地球温暖化抑止のための省エネルギーの観点から,断熱材断熱性能化の高性能は重要な課題であるが,昨今の"住宅用断熱材"にみられる"高断熱性"の風潮は,季節や時間帯,すなわち周囲環境温度によっては,その高断熱性により,逆にエネルギー消費の増大をもたらしている.これらのことから,環境温度変化に応じて最適な断熱性能が自動的に得られるような断熱構造体の開発が望まれる.そこで本研究では,申請者らが熱対流制御法として提案した,温度変化に連成して通気性(流動抵抗)が自動的に変化する感温スクリーンを,グラスウール等の従来の透過性のある断熱材に設置した新たな断熱構造体として"インテリジェント断熱材"を提案する.そこで,平成13年度は,この感温スクリーンの通気性(流動抵抗)の変化温度,設置位置等が,断熱層内部に生じる熱対流のパターン変化さらには断熱性能とどのように関連するかを,最も基本的な上面冷却,下面を加熱された水平断熱層と,側方加熱・冷却の鉛直断熱層を対象として,数値解析により検討を行った.その結果 (1)感温スクリーンを断熱層に設置すると,感温スクリーン部の流動抵抗による仕切り効果のため,高温面から低温面への対流によるエンタルピーの直接輸送が低減され,熱伝達は抑制される. (2)熱伝達抑制の程度は,感温スクリーンの閉塞温度ならびに設置位置によって異なる. (3)感温スクリーンを断熱層に設置すると,従来の断熱材よりも充てん量を減らすことができる.また,環境の温度レベルによって,最適な断熱特性が自動的に選択されるようなインテリジェントな制御が可能となる. ことが明らかになった
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