今年、新たにMH-1合金層とMH-2合金層に炭素繊維を0、3、7、10wt%混入した条件で有効熱伝導率測定を行い、その実験結果を昨年報告した熱駆動MH冷凍システムの性能予測計算プログラムに組み込んだ。また、上記の各炭素繊維混入条件での合金層の空隙率と体積割合も測定し、計算プログラムに用いた。 以上のような改良を施した数値計算とモデル機による実験で熱駆動型MH冷凍システムの冷凍性能評価を行った結果、炭素繊維有無に関わらず、熱損失を除いたモデル機の冷凍性能実験値を数値計算で精度よく予測することができたので、その他のパラメータが冷凍性能に与える影響を計算のみで予測してみた。まず、死容積は全体内部容積の60%以上になると急激に冷凍性能が低下すると予測されたので、死容積が70%強であるモデル機は配管等の改良で更なる性能向上が可能であると判断した.顕熱回収率、0〜100%の条件でCOPを計算した結果、顕熱回収運転により、COPが最大2倍まで改善できると予測された。また、熱容量が比較的少ない反応容器を開発するために、熱交換器となる反応容器の形状や材料がCOPにあたえる影響も予測計算した。その結果、合金内管充填型の2重管式熱交換器と合金チューブ充填型のシェルアンドチューブ式熱交換器は外側の容器に耐圧性が必要なく、低熱容量の材料を使用できるのでCOPも向上すると予測された。従って、これらの熱交換器の本システムへの利用を提言した。
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