研究概要 |
本年度は,ロータ変位のセルフセンシング制御の原理確認を行った.セルフセンシング制御には,アキシャル磁気浮上モータを3相PWMインバータで駆動したときの電流波形のリップルの大きさを各相ごとにフィルタによって取り出し,それらを足し合わせる方法を用いた.しかし数値シミュレーションおよび実験の結果,磁束ベクトルの方向によりセルフセンシング出力が変化し,安定した変位推定ができないことが分かった.この原因として,3相PWMインバータでは,それぞれの相で線間電圧が0, -Vs, +Vsの3つの状態をとり,これらが磁束ベクトルの方向により異なった組み合わせとなることがあげられる. そこでこの問題を避けるため,ステータ巻線を2相巻線とした装置を製作し,実験を行った.2相巻線では,それぞれの相を独立したPWMアンプで駆動するため,+Vs, -Vsの二つの状態のみで駆動でき,安定したセルフセンシング出力が期待できる.数値シミュレーションおよび実験の結果,磁束ベクトルの大きさが一定の場合,磁束ベクトルの方向に関係なく,ロータとステータのエアギャップの長さに比例したセルフセンシング出力が得られることを確認した.しかし磁束ベクトルの大きさが変化した場合は,セルフセンシング出力が変動するため,浮上制御を行うためには,この問題を解決する必要がある. 今後は,磁束ベクトルの大きさの変化によるセルフセンシング出力の変動を解決する方法を検討し,セルフセンシングによる浮上・回転制御を行う予定である.
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