本研究は、屋内外を問わず、水平および上下方向の歩行による移動距離を、足の動きを利用して無拘束計測する方法を提案する。また、3次元移動距離計測センサシステムを試作し、提案する方法の有効性を確認する。以下に、平成14年度の研究成果を示す。 1.平成13年度に試作したセンサシステムを利用して、屋外で平地歩行を行ったときの歩行経路の推定に関する実験を行った。一辺の長さが20[m]の正方形のコースを屋外に設置し、決められたコースを1周したときの3次元歩行経路を求めた。その結果、最終的に到達した実際の位置と推定した到達地点との差は最大4[m]程度となり、実際の歩行距離に対する推定誤差は5[%]となった。 2.鉄筋コンクリート製の建物内で、平地歩行および階段昇降時の歩行経路を推定する実験を行った。その結果、平地歩行では実際の総移動距離に対する推定移動距離の誤差は-7.2[%]、実際の到達地点と推定した到達地点との誤差は6.8[%]となった。また、階段昇りの場合、総移動距離の誤差および到達地点の誤差はそれぞれ、8.6[%]および5.5[%]となった。階段下りの場合、総移動距離の誤差および到達地点の誤差はそれぞれ、6.5[%]および13.2[%]となった。階段下りの到達点との誤差を除くと、いずれの場合も推定誤差は10[%]以下となり、提案した方法が3次元歩行経路推定に有効であることが示唆された。 3.画像情報を利用した3次元動作解析システムを使用して、歩行時の3次元爪先軌道を推定する実験を行った。実験室内のステージ上を2歩歩行し、爪先に取り付けたオプティカルマーカの位置を撮影して3次元爪先軌道を計測した。その結果、実際の爪先軌道と推定した爪先軌道との差の二乗平均は0.22[m]となり、総移動距離に対する誤差は7.6[%]となった。
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