研究概要 |
本研究では,昨年度に引き続き,複数の圧電フイルムを積層構造とし,これと外部のブリッジ回路との組合せによるセルフセンシングアクチュエータについて検討した.前年度の結果をもとに,積層型セルフセンシングアクチュエータの二次元構造物への適用を考え,4層構造の積層型セルフセンシングアクチュエータが2次元平面上での振動検出/制御が可能となるように,積層パラメータを設計した.制御対象構造物として,厚さ0.5mm,幅240mm長さ300mmアルミニウムの平板を考え,その一表面に上記で設計した積層化圧電フイルムを貼付した場合について,理論解析によって,得られる振動制御効果について検討した.平板の境界条件を周辺単純支持条件として,その1点に衝撃入力が加わる場合の平板の観測点変位の時刻暦応答を非制御時・制御時について計算した結果,変位応答について支配的であった1次振動モード(固有振動数36.0Hz)について制御効果が得られることを確認した.さらに実際に平板に圧電フイルムを積層化して貼付し,ブリッジ回路をパワーOPアンプに基づくアナログ回路で構成した実験装置を作製し,これを用いて制御実験を行った結果,実際に制御効果が得られ,また理論解析と実験が良く一致することも確認できた.以上より本手法によって二次元構造物のスマート振動制御が可能であることが理論的・実験的に示された.
|