研究概要 |
本年度は歩容生成の基礎データとなる地形検出のための,処理方法の検討および実装法の検討を行った.歩行路前方の路面データを得るために,検出方法としてはステレオビジョンを使用するものとした.また,画像処理を用いる場合,一般に処理時間を要してリアルタイム性に欠けるため,ハードウェアによる処理を目指した.本処理は,フレームバッファを持たない局所的なフィルタユニット等を直列接続したパイプライン動作による. この目的のためには大きく二つの課題があった.一つは画像処理手法を実装するためのハードウェアの開発であり,もう一つは手法の開発である.前者のためには,動的にプログラム可能な大規模CPLDを搭載したボード複数を接続することによって達成するものとし,専用のPCIボードを開発した.単純な二値化・畳み込みフィルタのパイプライン動作が可能であることを確認し,さらにNTSCのピクセルレートで動作可能なメディアンフィルタも実装した.後者のためには1ラインの画素のみでテンプレートとするテンプレートマッチング手法を開発した.環境の特徴点の分布によってテンプレートサイズを変更し,エピ極線の拘束も利用して,通路などの人工環境内で距離画像を得た.現在はソフトウェア処理を行っているため,低速であるが,ハードウェアとの親和性も高く,上述のシステムで実装可能と考えている. 関連した研究として,河野・小関はステレオビジョンによって1歩ごとに地形情報を取得し,それに基づいて様々な凹凸地形を本研究の対象である2脚・4脚ロボットで歩行可能であることを示した.今後は,これらの成果との統合も含めて,処理の高速性を活用した歩行を最終目標として研究を進める予定である.
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