本年度は、昨年度のロボットの環境認識を目的とした画像処理ハードウェア開発を継続し、性能の向上を図った。また、2脚歩行ロボットの研究において大いに参考となる人間の挙動を、高応答かつ精細に検出可能な磁気式6軸モーションキャプチャシステムの研究も行った。いずれの研究も、その中核は高速ディジタル信号処理であり、処理手法の研究とともに実装方法の検討も行った。 画像処理ハードウェアの研究においては、使用するプログラマブルデバイスの処理内容に応じた選択を可能とするための新規ボード開発およびサポートソフトウエアの充実を図った。これにより、前年度は基本的な処理アルゴリズムの実装には成功していたものの処理量に大きな制限があったことに対し、通常のNTSCビデオ信号を実用的な解像度でリアルタイムに連続パイプライン処理することを可能とした。 モーションキャプチャシステムは、元は別用途のために研究されていたが、本課題にも応用性が期待でき、信号処理部の構成が上記画像処理ハードウエアと近いため、平行して研究を行った。原理については割愛するが、その信号処理部は18チャネルの信号に対して相関演算を1μ秒程度で施す高速演算回路であり、画像処理と相互に高速化技術の反映、進展があった。なお、性能として、1m立方の空間内で0.5mm、0.02degの分解能を達成してしている。 以上のように、汎用の信号処理ボードを開発し、高速処理回路の実装を達成し、基礎的な研究成果は得たものの当初の目標の達成には到達していない。開発した装置を用い、今後も継続して研究を行う予定である。また、成果は論文発表等に加え、積極的にWWW等による技術開示を行うことで知見の普及につとめる予定である(すでに関連内容を一般技術雑誌等で公開済み)。
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