研究概要 |
マニピュレータを用いた物体移動において,壁や床などの作業環境と対象物の接触を利用して,対象物を移動させる環境接触作業が存在する.環境接触作業を位置制御マニピュレータで行う際に,マニピュレータの手先に位置誤差が発生すると,対象物や関節部に過大な内力が発生してしまうことがある. 環境接触作業ではないが,対象物を協調搬送する際にもマニピュレータの手先に位置誤差が発生すると,過大な内力が発生することがある.この問題点の解決案として,マニピュレータに受動関節を取り付けて過大な内力を発生させない手法が提案されている.この手法では,マニピュレータの手先の位置誤差を受動関節が吸収することにより,過大な内力の発生を防いでいる.この研究を環境接触作業に適用し,本研究ではマニピュレータの手首部分にフリージョイント機構を導入する.この際,対象物は環境に拘束されていない方向へ移動することができるので,この動きを仮想的なフリージョイントとみなし,手首部に導入する機構を簡素化できる. 本研究ではまず,フリージョイント機構を用いると過大な内力がかからずに環境接触作業ができることを示し,マニピュレータの位置誤差が対象物の位置誤差に及ぼす影響を最小とするような「最適な」マニピュレータの関節角の決定方法を求めた.また実際に二次元空間で作業を行うためのフリージョイント機構を作成し,簡単な環境接触作業の例としてならい作業を,複雑な例として挿入作業を行い,考察を行った.最終年度にはこれを三次元空間へ拡張したモデル及び機構を作成し,より複雑な環境接触作業へ適用させる予定である.
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