研究概要 |
原子炉,宇宙,海洋などにおける作業は,人間にとって非常に危険である.このため極限作業用ロボットが研究されているが,人間のもつ手先の器用さを実現することが不可欠である.人間は,組立作業において生じる把持物体と外部環境との未知の接触状態を手先の感覚だけで推定し,作業を進めることができる.このような人間の技量をロボットで実現するには,まず接触状態を検出・制御することが必要である. 研究代表者は,ロボットの手首部に装備した6軸力覚センサから得られる情報を用いて,接触点位置や接触力だけでなく,接触の種類さえも同定する手法を提案してきた.そして,今年度は次の研究を行った. (1)従来の研究では,力覚センサ(力,モーメント)に含まれるノイズのうち,モーメント成分のみを考慮していた.より実際的な問題を扱うため,力成分のノイズをも考慮した接触状態の同定法を提案した.シミュレーションによりその有効性を確認した.(ICRA2001) (2)上述の手法の有効性を実験により示すため,7自由度ロボットアームと6軸力覚センサを用いたセンシングシステムを構築した.そして,本手法の有効性を実験により確認した.(SI2001) (3)本手法は,接触点で生じるモーメントの特徴を利用している.接触状態が未知であるため,従来はロボットアームの手首部を中心にランダムな動きでアクティブセンシングを行っていた.動きの中心を推定接触点位置に変えることで,接触モーメントの特徴が明確になり,接触状態の同定がより正確に行えることを示した.(名古屋工業大学卒業論文) (4)人間は,手先の動きも考慮して接触状態を推定している.そこで,ロボットアームの関節角から手先位置,速度を算出することで接触状態を同定する手法を提案した.(名古屋工業大学修士論文) 今後は,力覚と速度情報の融合,接触点での摩擦係数や接触面積の影響を研究する予定である.
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