研究概要 |
本研究の目的は,人間と機械の知的な協調型問題解決機構を構築するための方法論の確立である.そのために具体的な研究対象として移動ロボットシステムをとりあげ,その階層型知的制御およびヒユーマンインタフェースの検討を行うことにより目的を達成する.初年度はこれまでに申請者が提案してきた方法論を再検討し,各方法論の理論的拡張およびアルゴリズムの構築を検討した.本年度の研究成果は以下のとおりである. 不確かさの表現として,確率理論とともに可能性理論による表現方法が注目を集めている.また同時にシステム設計に際しては多目的性を十分に考慮することが必要とされる.本年度はこれらに関して,システム上位層での計画的行動として利用される数理計画法の基礎理論の検討をさらに深めるとともに高速な解法アルゴリズムを開発するため,可能性理論の基礎となる区間の取扱いにとくに注目した区間係数を有する多目的計画問題の最適性について新たな知見を得た.これによりロバストなパレート最適解と区間の端点集合との関係が明らかにされ,パレート最適解判定の高速アルゴリズムの開発が期待されることとなった. 人間とロボット間で環境の認識・理解情報を共有する際に重要となる点は,人間とロボットは知覚や運動能力において機能的にかなりの相違点があることである.この問題に対する解決策として,これまで知覚運動協応の考え方を取り入れた行動型ロボット制御系の構築を試みてきた.本年度はとくに各行動モジュールからの出力をAdaptive Resonance Theoryを用いた学習システムに入力することによって,環境のカテゴリー化を行うことによりロボットと人間の環境認識の差異に関する比較検討を行った.
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