研究概要 |
ベースロボットが走行しながら,搭載したマニピュレータで目標物体を把持するという動作の実現が,本研究の目標である.これに向けて,平成13年度は,以下に示す2つのテーマに焦点を当て,研究を行った. (1)移動マニピュレータの動作計画アルゴリズムの考案 移動マニピュレータでは,マニピュレータの手先の位置・姿勢が確定しても,冗長性のため,ベースロボットの位置・姿勢とマニピュレータの各関節角度は,一意に決まらない.この冗長自由度を回避し,マニピュレータが操作しやすい動作を実現するため,「マニピュレータの操作性を大きく保つベースロボットの走行経路計画手法」を考案した.この手法の手順を以下に示す. 1.マニピュレータの手先の目標位置・姿勢に対して,ベースロボットの位置を変化させ,各地点における可操作度(ヤコビ行列のデターミナント)を計算することで,可操作度の分布を算出する. 2.可操作度の分布から,可操作度が一定値以上となる領域(可操作エリア)を確定する 3.手先の目標経路に沿って,可操作エリアを計算し,これを積み上げて,可操作柱体を形成する 4.作成した柱体の上面と下面を結ぶ経路を計画することで,ベースロボットの走行経路を決定.これにより,マニピュレータの姿勢も決定する. 平成13年度は,このアルゴリズムを利用して動作計画を行い,シミュレータを用いて,この動作の検証を行った.なお,この研究成果については,日本ロボット学会学術講演会,ならびに第7回ロボティクスシンポジアで発表を行った. (2)ロボットプラットフォームの製作と整備 動作アルゴリズムの構築と平行して,平成13年度には,ロボットプラットフォームの製作と整備を行った.まず,研究室で所有する移動ロボットの走行制御系の整備を行い,本年度に設計・製作した小型マニピュレータをこのロボットに搭載した.また,マニピュレータの角度制御を行う制御プログラムを,これに実装した.
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