研究概要 |
本研究では、船舶搭載型の旋回クレーンを対象とし、安全性と効率性の観点から、人間の優れた判断能力と機械の優れた経済性、信頼性の利点を生かし、(a)監視と操作はオペレータ(人間)に依存させる。(b)目標軌道の導出や荷振れを抑制するための制御入力は機械的(自動的)に与える。(a)を(b)を融合させたマン-マシン共存型の船舶搭載型旋回クレーン搬送制御システムの構築を行う。これにより、非定常型の作業に対して融通が利き、しかも安全性、効率性の高いシステムの実現を図ることができると考える。昨年度から、実験検証を行うための装置を設計・製作し、船上に搭載している旋回クレーンモデルを導出している。このとき、船舶の揺れとクレーン荷振れは単独且つ相互に影響をもっており、それを表現できるモデルは複雑となる。実時間で制御を行うためには、計算時間の点から制御モデルは簡単な方がよい。そこで、船舶の動揺は、係留されていることから、ローリングのみとし、荷の座標に着目し、荷揺れによる荷の位置を目標軌道に一致させることを試みた。今年度は、実験検証を行うための目標軌道(与える入力)を、通常熟練オペレータの手動操作による旋回クレーン搬送の場合と同様に、旋回、ブームの起伏、荷の巻上下げのそれぞれの動作を同時に操作することとし、可能な限り最短距離を通る直線搬送軌道上を,荷振れを生じさせないような操作入力として与え、実験検証を行った。直線搬送により旋回による荷振れが少なくなり、与える目標軌道としては有効な方法と言える。今後は、従来行った荷位置の軌道に着目した手法を適用し、制御系荷振れの抑制を考慮した搬送制御システムの構築を行う予定である。
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