研究概要 |
平成13年度においては,楔形ギャップ付き直交磁心の動作機構の解明を行うと共に,1.5kVA程度の3相可変インダクタを製作し,基礎特性について詳細な検討を行った。まず,それぞれギャップ寸法が違う楔形ギャップ付き直交磁心を10個製作し,制御特性および出力電流高調波含有率の測定を行い。ギャップ寸法が諸特性に与える影響について検討を行った。この実験の結果から,ギャップ寸法を大きくすれば高調波含有率は減少する傾向にあるが,制御特性は徐々に劣化していく傾向にあることを明らかにした。潮流制御器においては,線形かつ広範囲な制御性と,電流歪みが小さいことが重要であるが,両者がトレードオフの関係にあること,従って磁心の最適設計法の確立が重要であることを明らかにした。上述の考察に基づき,筆者が提案している3次元非線形磁気回路網解析手法であるリラクタンス・ネットワーク解析(RNA)を用いて制御特性と高調波含有率の算定を行ったところ,計算値と実測値は良好に一致することが確かめられ,楔形ギャップ付き直交磁心の最適設計に有用であることを明らかにした。 次いで,上述のRNAを用いて1kVA程度の楔形ギャップ付き直交磁心を3台製作し,3相可変インダクタを構成して,実験により諸特性の測定を行った。この実験結果から,3相可変インダクタは良好な制御特性を有すること,出力電流はほぼ正弦波になることを確かめた。これにより,楔形ギャップ付き直交磁心を用いた潮流制御器においては,回路構成が簡単であること,高調波除去フィルタを必要としないことなどから,機器のコンパクト化に有利であることが予想される。 本年度の成果に立脚し,平成14年度においては潮流制御器の基礎実験システムを組み,基礎特性について詳細な検討を行う予定である。
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