本研究の目的は、提案したアクティブパッシブリアクタンス回路(以下、VAPARと略す)を応用して実現した平衡三相可変インダクタンスについて、外部インピーダンスを考慮した場合の過渡特性を明らかにすることである。これまでの研究では、VAPARの外部に直列インダクタンスおよび抵抗を接続した場合の過渡電力特性は解析済みである。今年度は次に様な事項について研究を行い成果を得ることができた。 1.外部インピーダンス接続時の平衡三相可変インダクタンスの過渡特性の解析。 過渡特性解析の前提条件として、回路の安定性が問題となる。特にVAPARが負性インダクタンスとして動作し、外部インピーダンスが接続された際の安定性について、理論解析およびシミュレーションによる解析を行った。その結果、VAPAR内のインバータを理想電圧源として取り扱った場合、外部インピーダンスとして直列インダクタンスおよび抵抗のみの場合は安定となる場合が存在するが、並列キャパシタンス(浮遊容量など)を想定した場合は必ず不安定となることがわかった。しかし、実際にインバータを用いてシミュレーションを行うとほとんどの条件で安定となることも判明した。これらの成果はPEMC2002論文として発表予定である。 2.実験装置の製作 平衡三相可変インダクタンス(既存設備のVAPAR実験設備により実現)と外部回路(外部インピーダンス+電源)を接続した特性測定回路を製作した。外部電源は四象限運転可能な電源装置三大で構成した三相交流安定化電源を用い、歪みの少ない正弦波を供給すると同時に、振幅変化時の過渡応答も測定可能とした。
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