平成14年度においては、衝撃波管駆動ディスク形MHD発電機を用いた発電実験において、作動気体を従来のAr/CsからHe/Csへと変えることで高い流速を得、発電性能を向上させるための実験を行った。その結果、高い発電性能を得たのみならず、発電プラズマの状態と発電性能に関する発展的な検討を行った。 シード率、発電チャネル負荷抵抗値等の条件を変化させた発電実験を行い、断面積比の小さい同一発電チャネルを用いながら作動気体を変更する上での運転条件の差異に注目した結果、He/Csを作動気体とした場合には、Ar/Csを用いた場合と比較して、高いシード率を設定し電気伝導度を上昇させること、高い発電チャネル負荷抵抗値を設定し大きなホール電界強度を得ることが有効であることを明らかにした。特に、He/Csを作動気体とした場合には、澱み点圧力、超音速ノズル負荷抵抗値の変化が、等エントロピー効率及びエンタルピー抽出率に非常に大きな影響を与えることを明らかにした。本研究で用いたような小規模実験装置としては非常に高い等エントロピー効率45%ならびにエンタルピー抽出率15.9%を達成した。さらに、超音速プラズマ流体の流速が増加することに対応した高時間分解能電子温度計測手法を確立し、作動気体の違いに起因するプラズマ流体挙動の特徴、MHD相互作用等の物理現象の違いを詳細に検討することが可能になった。本研究のように、高い発電性能レベルにおいて、作動気体、プラズマ挙動、発電性能の密な関係を体系的に検討した例は過去にない。 以上述べたように、工学的、物理的に従来研究からの大きな進展が得られたことはプラズマMHD発電研究において非常に意義の大きなことであったと考える。
|