研究概要 |
本研究では電気事業者により独占的に供給されている周波数調整能力を独立発電事業者や需要家に解放し,より安定な電力を安価に供給できる新しい周波数調整能力確保システム構築を行った。研究の概要は以下のとおりである。 (1)電力系統では、常に需要と供給のバランスが保たれていればならず,そのバランスのずれは周波数変動として表れる。発電機離脱や系統故障などにより電力供給能力不足が生じると,周波数低下が起こり,周波数応答能力を通して十分な供給能力の補充が無ければ,系統全体の崩壊に繋がり,大規模な停電になる危険性がある。発電機の周波数応答能力は発電機の運転状態に応じて複雑に変化するため,発電機の出力と周波数能力のバランスのとれた配分が必要となる。そこで,発電機の運転状態と周波数応答能力を表すモデルを作成し,系統全体を同時に考慮したシミュレーション手法を開発した。 (2)上記のシミュレーションモデルに基づき,周波数応答能力を考慮した発電機出力最適化問題の定式化を行った。この最適化問題においては微分方程式で表される動的システムを考慮する必要があるため実規模問題で実用時間内に解を得ることが困難となる。そのため,モダンヒューリスティック手法の一つであるタブーサーチ手法を用いた実規模電力系統でも適用できる手法の提案した。 提案する手法を用いることで,電力自由化市場における周波数確保問題を評価し,ある指標で最適化する手段を提供することができた。
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