研究概要 |
本年度は,前年度に引続き提案手法の有効性の検討を実験的に行った。 1.小型実験機でのカオス現象実験 計算機シミューレションで確認されたカオス現象が現実のシステム(実験用模擬電力系統)に対しても生じることを確認した。実験用小型発電機の界磁回路応答特性は,計算機シミューレションで想定した実系統レベルの大型機と異なり,極めて時定数が小さいが,AVRブロックのゲインや時定数を調節することで同様のカオス現象を観察することが出来た。(前年度でシミュレーションによって検討した)適切な動揺振幅の設定についても可能であることを確かめ,現実システムに過剰な不安定動作をさせることなく,カオス的動揺現象を発生させ得ることを確認した。 2.提案するパラメータ値同定法を実験的に検証 カオス現象が実験でも生じることが観察できたことをふまえ,実験データに対してカオス同期現象が確認できるシステムを作成し,パラメータ値同定が可能かどうかの検証を行った。計測システムを試作し,いくつかのパラメータに対し妥当な測定結果が得られるかどうかを調べた結果,カオス的動揺現象そのものに大きく影響を与えるパラメータを同定するのには適さないことが分かった一方,パラメータによっては提案手法が有効なことが確かめられた。
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