平成13年度は、本研究課題「ナノ秒パルス高電圧を用いた環境技術」における要素技術であるナノ秒パルス高電圧発生装置の設計・製作及び本装置による生成放電プラズマの評価をおこなった。 ナノ秒の時間幅を有する高電圧パルスを得るためには、電源スイッチとしてサブナノ秒の立ち上がりが要求される。そのため電圧立ち上がり時間遅延の要因となるスイッチ部のインダクタンス成分は極限まで減少させる必要がある。今回製作したナノ秒高電圧発生装置には、スイッチとして同軸型の低インダクタンスギャップスイッチを採用した。また、スイッチ部へ六弗化硫黄(SF_6)を高気圧にて充填することにより、放電路の短縮による更なるスイッチング時間の短縮を図った。その結果、立ち上がり時間1-2ns、パルス幅10ns、最大電圧60kVを有するナノ秒パルス高電圧発生装置の開発に成功した。なお、本装置の出力電圧はスイッチ部へのSF_6充填圧力調整により任意の設定が可能であり、本装置への充電電源として磁気パルス圧縮電源(MPC)を採用することでパルス繰り返し周波数100pps(pulses per second)を達成した。 また、ナノ秒パルス高電圧発生装置による放電プラズマ生成においては、接地電極を有さない線電極における大容量放電プラズマの生成を確認した。これは高速の電圧立ち上がりを有する本装置特有の特性である。さらに電極間隔30mmを有する線対平板電極中においては、広範囲にわたる放電プラズマの生成を確認し、その生成放電プラズマの体積は電圧波高値の増加及び線電極径の縮小により増加することを見出した。
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