本研究は、実験装置の構築及び特性測定と、ウェーブレット解析理論の構築及びこれを用いた数値解析との2種類の活動に大分される。実験装置の構築は段階を追う必要があるため13年度と14年度に分割し、データの取得もこれに伴って段階的に行う。解析理論の構築はこれと並行して行うが、主に初年度に理論的な取り扱いを確立し、次年度で実験結果との対照を行いつつ解析を進めていく。 実験面では、平成13年度はトーラス状誘導機実験装置の製作を行った。装置本体のうち、土台、二次リング、一次側の一部の製作が終了し、仮作動試験が完了している。しかし、これらを駆動する可変周波数電源装置、及び二次リングにトルクを与える負荷装置がないため、本格的な駆動・測定には至っていない。今後は、電気的・機械的特性の測定装置を用意し、実験装置の基本特性を把握する。また、一次側が完成していない状態でも測定が可能な、縁効果、端効果がある状態での特性測定を実施していく予定である。 理論面では、ウェーブレット解析による理論解析手法の構築を行う。研究業績にも挙げた通り、既に理論の方向性と基礎部分は存在している。平成13年度は、これを基礎とした、平滑スロット(一次表面電流モデル)での解析が可能な手法を確立した。今後は、この解析手法の妥当性を検証するために、リニア誘導モータの基本特性を実際に求め、既存の結果との比較を行う予定である。
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