Bi-2212テープを連続焼結するため、管状炉の作成を行った。長さ1mの管状炉に対してテープの運送速度を0.05m/hとして、テープが管状炉に挿入されてから徐々に温度上昇し始め、3時間で890℃になるようにする。そこから4時間で850℃まで徐冷して、この温度を10時間保持できるようにする。このような設計指針に基づいて、管状炉に巻くカンタル線を3つの部分に分け、それぞれ温度コントローラで温度制御できるようにした。温度分布の計算結果から、それぞれの部分の巻き線ピッチは2mmで均一とした。 最適なBi-2212テープの焼結条件を知るため、試料とBi_2Al_4O_9とともに溶融凝固焼結した場合に臨界電流密度に与える影響と、各温度パラメータが与える影響について調査した。それぞれ最適条件で作成した試料の電気磁気特性を比較すると、Bi_2Al_4O_9とともに溶融凝固焼結した試料では結晶粒間の電気的な結合には影響を与えないものの、結晶粒内のピンニング力を劣化させ、液体ヘリウム温度での臨界電流密度を低下させてしまうことが分かった。 超電導ケーブル導体を作成した場合の交流損失がいくらになるか見積もりを行う必要がある。そこで、東京電力と住友電工が開発した114MVA高温超電導モデルケーブルを例にとり、交流損失計算方法の開発を行った。このケーブルの電気特性を表現するために電気回路モデルを適用した。電気回路モデル中の電気抵抗は、テープ面に平行に磁場が印加された場合の交流損失の測定結果を解析し、印加磁場と通電電流の2つの関数として表現した。また、インダクタンスは軸方向磁場と周方向磁場に分けられることを考慮に入れ数値計算した。電気回路モデルにより計算された層電流から交流損失を求めたところ、測定結果と一致する結果が得られた。これにより、高温超電導ケーブルの交流損失の見積もりが可能となった。
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