本研究は、高効率で、騒音・振動が小さい円筒形ブラシレスDCモータの制御に関する研究である。この円筒形ブラシレスDCモータを普及させることができれば、高効率モータであるため、エネルギー効率の向上、ひいては地球温暖化の防止の一助となることができ、防音材等が不要であるので省資源に貢献できる。 しかし、円筒形ブラシレスDCモータには、回転子位置センサが不可欠である。従って、これを取り除くセンサレス制御が可能であれば、この位置センサが使えない環境であるがためにこのモータの使用ができなかった場合でも、このモータへの置き換えが可能で、このモータをさらに普及させることができる。 しかしながら、このモータを、回転子の磁石による速度起電力が小さい低速状態で、センサレス制御するのは困難な問題として残されていた。 この問題を解決するため、申請者はうず電流を用いた全く新しい回転子位置推定法を提案し、シミュレーションにより提案手法の有効性を明らかにした。このため、本年度は主に、提案するセンサレス制御法のシミュレーションをより実機に近い状態で行った。 本方法は高周波を用いるため、実機を制御するDSPによるモータ制御装置の演算時間ではできない微分演算に、移相器を用いることを提案することや、本方法では6つのアナログ信号を同時にA/D変換する必要があるのに対し、DSPによるモータ制御装置のA/Dコンバータの同時サンプリングが4チャンネルしかできない障害をサンプルホルダを用いることによって回避することを提案し、より実機に近いセンサレス制御のシミュレーションを行った。シミュレーションの結果、無負荷状態のモータを低速で加減速運転させることに成功した。現在は実機実験に向けて制御回路等の製作を行っている。
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