研究概要 |
本研究は、高効率で、騒音・振動が小さい円筒形ブラシレスDCモータの制御に関する研究である。このモータを普及させることができれば、エネルギー効率の向上、ひいては地球温暖化の防止の一助となることができ、防音材等が不要であるので省資源に貢献できる。 しかし、このモータには、回転子位置センサが不可欠である。従って、これを取り除くセンサレス制御が可能であれば、この位置センサが使えない環境であるがためにこのモータの使用ができなかった場合でも、使用可能となり、このモータをさらに普及させることができる。 しかしながら、このモータを、回転子の磁石による速度起電力が小さい低速状態で、センサレス制御するのは困難な問題として残されていた。 この問題を解決するため、申請者はうず電流を用いた全く新しい回転子位置推定法を提案した。本方法は高周波を用いるため、実機を制御するDSPによるモータ制御装置の演算時間ではできない微分演算に、移相器を用いることを提案することを提案し、シミュレーションの結果、無負荷状態のモータを低速で加減速運転させることに成功した。この成果は、平成15年6月、電気学会論文誌に掲載されることが決定している。 そこで本年度は、シミュレーション結果を基に、実機実験に向けて必要なハードウェア及びソフトウェアの開発を行ってきた。ところが、ここ1,2年の間に、シミュレーション上で構成していた、高周波を重畳させるのにソフトウェアを工夫する労力が少ない電力変換器が姿を消し、入手が困難になってしまっていた。このシミュレーション上で想定していた電力変換器をハードウェアを駆使して実現することは、もちろん可能である。しかし、提案するシステムを普及させることを考えれば、高周波を重畳させるためにソフトウェアを工夫する労力を必要とするものの、入手が容易な電力変換器を採用することにした。 そのため、高周波を重畳させるためのソフトウェアの開発に予想以上の時間を費やしたが、高周波を重畳させられるようになった。移相器やそれにともなうハードウェアは、ほぼ製作したので、位置推定が実現できるのは時間の問題である。
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