本研究では、新規に合成したポリパラフェニレンビニレン(PPV)誘導体やポリアセチレン(PA)誘導体といったπ電子共役系が発達し、しかも強い発光性を示す導電性高分子を用いてマイクロリング構造を作製し、その電気的性質や光学的性質等を明らかにした。特にPPV誘導体は水溶性のものを開発したことで、交互吸着法による導電性高分子超格子構造の作製が可能となった。以下に研究成果を具体的に示す。 (1)交互吸着法、電着法によるマイクロリング構造の作製に成功した。マイクロリング構造のコア材料や導電性高分子溶液用の溶媒等の作製条件を最適化した。導電性高分子薄膜の表面状態を光学顕微鏡、AFM等で評価した。 (2)交互吸着法によりポリカチオン、ポリアニオンからなる導電性高分子マイクロリング超格子構造の作製に成功し、電子・光物性の評価を行った。層構造の分析に発光特性及びX線回折法が有効であることを見い出した。 (3)新規導電性高分子共重合体について光学的性質を調べたところ、強い発光性を示すことが明らかになった。更に炭素系高分子主鎖上にSi等のヘテロ原子を導入することで任意の共役長に制御された共重合体では、レーザー応用の実験により、特に青色レーザー材料としての有用性を見い出した。
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