本研究の目的は、超伝導素子を飛躍的に小型化する設計法を提案し、実験的にその妥当性を検証することにより、通信デバイスの小型化をはかることである。 バンドパスフィルタは、Jインバータを導入することにより、分布定数回路で実現できる。インバータ部をインターディジタルギャップで、また、並列共振器部をメアンダ線路のサセプタンスで置き換えることが可能である。 1:従って、インターディジタルギャップによるJ値及び、メアンダ線路のサセプタンススロープパラメータを、2.5次元電磁界シミュレータにより測定し、ギャップ-メアンダ線路-ギャップで構成されるコプレーナ共振器を作成し、周波数特性を観測した。 2:また、メアンダ線路部については、折り曲げ半径と、共振周波数及び線路のサセプタンススロープパラメータの関係について明らかにした。その結果、曲げ半径を小さくすると、すなわち、隣り合う線路が近づくと、共振周波数が低域側にシフトし、サセプタンススロープパラメータは減少するという傾向を初めて明らかにした。これにより、従来のフィルタ設計法では、小型化の際に所望の特性を得ることができないということが示唆される。本研究により、電磁界シミュレータを用いて、曲げ半径の影響をより詳しく測定することにより、線路間の結合を考慮した新たな設計法を見出した。
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