再構成型デバイスは、ハードウェアレベルで構成を変更できるため、各アプリケーションに対して適宜適切なハードウェアによって処理できる。その一方で、再構成型デバイスの動作速度は、その構造上、一般に利用されるフルカスタムICやセルベースLSIなどのASICと比較して遅い。これまでの再構成型デバイスは、この動作速度がネックとなり、総合的に高い処理性能を発揮することができなかったが、近年の集積回路技術の進展に伴い、多くの処理でASICを上回る処理を実現できるようになってきた。本研究では、それらデバイスの特徴を調査し、双方を用いた高効率な情報処理システムの構築を目的とする。 上記研究を行うにあたり、再構成型デバイスであるFPGAとプロセッサであるDSPを用いたハードウェアプラットフォームの構築を行った。上で述べたデバイスの評価を行うには、シミュレーションモデルだけでは、正確な調査は行えない。そこで、まずFPGAを実装したプラットフォームを構築し、FPGA単体による評価を行える環境を構築した。次に市販のDSPボードを用いて、DSP単体の評価を行えるようにした。これらを用いていくつかの信号処理アプリケーションを作成することで、FPGA向け処理とDSP向け処理の判断を行った。その結果、8ビットデータ幅を主体とする信号処理アプリケーションにおいて、FPGA(Xilinx Virtex XCV300)とDSP(TI TMS320C6701-160)では、単純な積和演算(MAC)ではほぼ同等の処理の処理能力を示すことが確認できたが、符号化のような各データが依存する処理ではFPGAが40倍程度の性能を示した。 来年度は、引き続きこの調査を行う。また、FPGAとDSPを実装したハードウェアプラットフォームの開発もほぼ終了しており、これらを用いて協調動作による処理方法の検討も行う。
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