研究概要 |
本研究では,ディジタル回路のFPGAにならって,アナログ回路のプログラマブル素子に関する研究を行うものである。ここでは,この素子のことをフィールドプログラマブルアナログアレー(Field Programmable Analog Array,略してFPAA)と呼んでいる。これは,予めある機能ブロックをLSIの中に作り込んでおき,ユーザーが外部から結線情報を与えることで,ある目的を果たすアナログ集積回路を実現するものである。このFPAAでは,内部に予め作り込んでおく回路要素の選定が極めて重要であり,これによって実現可能なアナログ信号処理の範囲が決まることになる。そこで,本研究では,FPAA回路内部に作り込むための回路として,トランスコンダクタンス増幅器(OTA),電圧制御形線形可変抵抗回路,ディジタル制御形アッテネータ,アナログ乗算器を取り上げ,これらの回路の設計を行った。OTAに関しては,FG-MOSFETおよびレベルシフト回路を用いた線形領域動作形のOTAを構成し,電源電圧3V,最大消費電力0.42mW,帯域幅100MHzでの動作を確認した。電圧制御形線形可変抵抗回路は,通常の抵抗と同じ消費電力で,広可変レンジと広入力レンジを有することを確認した。また,ディジタル制御形アッテネータに関しては,2個の多入力FG-MOSFETによって構成され,電源電圧3Vでの動作を確認し,-13dBから-31dBの可変利得を実現できた。乗算器に関しては、多入力FG-MOSFETを利用することで,電源電圧3Vで3Vの入力レンジを有し,最大消費電力が8.8mW,帯域が23MHzであることを確認した。今後は,これらの回路を用いてFPAAを構成する予定である。
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