新しい半導体レーザ構造として3接合構造・4電極素子を提案した。数値解析により分離閉じ込めヘテロ構造(SCH : Separate Confinement Heterostructure)内に高電界を印加した状態で発振可能であることが示された。このような半導体レーザの特色として電子・正孔の活性領域への注入は拡散電流・ドリフト電流共に関与し、その比率は制御可能である。このため電子のみ選択的に注入を制御して高速な応答を期待できる。 また、高電界印加部は様々な電界効果を期待できて、屈折率の変調や走行効果などにより機能的な発光デバイスを作製することができる。一例としてガン効果と組み合わせた高周波発振光素子のモデル解析を行い、1×10^6V/m以上の負性電気伝導性に十分な印加電界の確保が可能なこと、そして発振周波数と緩和振動周波数のマッチングも図れ高周波電流注入変調が十分に光応答可能なことを証明した。このような電子走行デバイスでは発熱の問題も無視できないが実験により確認する。 このような新デバイスの作製を通信に有利な1.5μm帯での実証を念頭にInP基板を用いて行った。結晶成長はMOVPE法によった。デバイスはブロードエリア型の多モード発振レーザとし、4電極の配置のために表に3電極、裏に1電極を設ける構造とした。デバイス解析によりドリフト電流の漏れを抑制するために電流ブロック層をSCH内に設けその有効性を確認することも目指した。 現在、この新しい半導体レーザ構造につき特許出願を行っている。
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