研究概要 |
本年度は新しい誤り位置指摘機能を有するバースト誤り位置指摘符号を構成した。本符号は符号語中に枠と呼ばれる連続した複数シンボルの集合を複数定義し、バースト誤りが生じた際にその誤りを完全に含む枠を指摘するという機能の符号である。隣接する枠をl-1ビットずつ重ねて配置することにより任意の位置に生じたバースト誤りが位置指摘可能となっている。そのため、符号語をブロック分割してブロック単位で位置指摘を行う従来のバースト誤り位置指摘符号における問題点、すなわちブロック境界で生じたバースト誤りが位置指摘不可能であるという問題点、を本符号は解決している。この位置指摘機能を有する実用的な符号として、1ビット誤りを訂正するバースト誤り位置指摘符号を構成した。この符号の構成法は以前より研究代表者らによって提案されていたが、得られた符号は検査長が長くなるとバースト誤り訂正符号であるファイヤ符号よりも情報長が短くなるという問題点を有していた。今年度構成した符号の検査行列は以前の符号の検査行列に列を付加することによって構成しており、符号長が4分の3倍になっている。さらに、この符号の情報長はファイヤ符号の情報長よりも常に長くなる。この符号の構成法を論文にまとめて情報理論国際会議(2002 IEEE International Symposium on Information Theory, ISIT 2002)に投稿した。本論文は採択され、本年6月にスイスのローザンヌ市で開催される同会議で発表する。今後は、構成法の改良を進めるとともに、計算機シミュレーション等により得られた符号の評価を行う。
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