研究概要 |
本年度は,画像輪郭に基づく対話的な画像処理システムを実現するために,画像輪郭に基づく新しい画像展開法を提案した.提案法は,画像の2次元ウェーブレット変換から極大値を求めることで画像中のオブジェクトの輪郭を抽出した後,輪郭座標上にシフトしたウェーブレット基底から画像近似を行う.2次元ウェーブレット変換には,平滑化関数の1階導関数と一致するウェーブレット関数を用い,極大値から画像輪郭を検出する.画像近似は,凸射影法に基づき,ウェーブレット変換領域で近似画像と原画像の2乗誤差が最小となり,かつ展開係数の2乗和が最小となるウェーブレット基底の線形結合を導出する.提案した画像表現は1回のウェーブレット逆変換により,原画像近似を行うことが可能で,従来までに用いられてきた画像輪郭表現よりも高速な原画像近似を実現できた. 提案した画像表現の応用として,画像符号化へ適用し,従来の直交変換に基づく画像符号化法と画質,情報量で比較を行った.提案法に基づく画像符号化法では,少ない符号量でも画像輪郭を良く保存し,かつ量子化雑音等を発生しないことを確認した.さらに,画像輪郭に基づく画像処理として,輪郭の変形に基づく顔画像の表情変換を検討した.さらに,輪郭上に付加される展開係数の処理に基づき,劣化画像の高周波推定を行う方法を提案し,画像拡大,画像強調への適用を検討した.
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