研究概要 |
本研究では,対話的な画像編集,画像加工を目的として,ウェーブレット変換による画像輪郭抽出を用い,輪郭情報をユーザーに提示することで,対話的に画像処理を行うシステムの構築を行った. 本課題で得られた成果は下記の3つである. (1)画像輪郭上にシフトされたウェーブレット基底により高精度な画像近似を実現するための画像展開法として,エッジベース画像合成モデルを提案した.提案法を輪郭抽出符号化法へ適用し,顔画像に対して1Kバイト未満の情報量で視覚的に有意な画像符号化が実現できることを示した.さらに,輪郭の変形により原画像を変形させることが可能であり,応用例として顔の表情変換等へ適用できることを示した. (2)一般に処理対象となる画像には雑音が重畳し,処理対象とすべき画像本来の輪郭と背景雑音の分離が困難である.本研究では,多重スケール解析によるエッジ抽出法の1つの方法として,スケール間の積から輪郭を抽出する方法を提案し,画像強調法であるアンシャープマスキングの制御に応用した. (3)提案したエッジベース画像合成モデルにより,輪郭部の輝度変化から画像を記述することが可能になった.これを用いて,高周波成分を推定することができる画像の拡大法を提案した.ウェーブレット変換のスケール間における振幅推移から,未知高周波成分を推定し,画像の鮮明さを損なわない画像拡大法を提案した. 本課題では,ウェーブレット変換を用いた画像エッジの検出,解析と画像合成法の提案を行った.今後,検出,解析法と合成法を組み合わせることで,輪郭に基づく画像編集,加工システムを構築する予定である.
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