研究概要 |
現在盛んに研究が行われている時空間信号処理は次世代移動通信システム実現の切り札と考えられている。しかしこれらアルゴリズム導入の効果は時空間の伝搬特性に依存しているため,多種多様なアルゴリズムを比較し最適なアルゴリズムを見出すためには,実際の時空間チャネル特性を把握し,アルゴリズム比較のための標準伝搬モデルを導出する必要がある.時空間信号処理アルゴリズム設計評価のための標準伝搬モデルとは,チャネルの時空間特性,つまり遅延時間の拡がり,空間的な拡がり,ドップラ周波数拡がりを含む必要があり,特にこれらのパラメタの相関関係が重要となる.これまでに作成されたチャネル特性測定器(チャネルサウンダ)は,残念ながら上記の様な仕様を満たしていない.そこで本研究は,時空間の電波伝搬特性を高分解能かつ同時に測定することができるチャネルサウンダを開発・製作し,そのチャネルサウンダを用いて測定した伝搬特性の実測値より標準伝搬モデルを導出することを目的としている.平成13年度の研究においては2つの特筆すべき成果が得られた.1つ目は、それまでに開発を行っていたプロトタイプハードウェアに改良を加え実測に適したMIMO時空間チャネルサウンダの製作に成功したことである.考案したハードウェアのアーキテクチャは論文誌への掲載が決定している.2つ目はチャネルサウンダのトータルキャリブレーションアルゴリズムを考案したことである.このアルゴリズムを用いることによって測定精度が飛躍的に向上することを計算機シミュレーションにより確認した.この成果に関しては学会発表を行う予定である.
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