研究概要 |
実用的な電波伝播超解像アレーの実現に向け,まず,理論的な検討として,MUSIC法などに比べ少スナップショット,低SNR時においても精度の良い推定を実現する最尤推定手法であるMODE法の3次元推定アルゴリズムを導出した.偏波を含めた4次元への拡張も容易である.また,計算機シミュレーションによるアルゴリズムの分解能特性評価を行い,前述の特徴を実現していることを確認し,さらにコヒーレント波に対する分解能をMUSIC法と比較し,相関抑圧前処理の必要が無いため,アレー開口を有効に利用でき,いかなる状況においても優れた波源推定を実現できることを示した. また,超解像アレーシステムの実証実験に向け,今年度は,以前の研究において試作されたFM-CW方式に基づいた4素子アレーシステムの多素子化(8素子)を行い,RF, IF部の主要な回路を設計・試作した. 実際の運用において超解像アレーの高分解能性を実現するには,各素子・チャネルの回路のばらつきに加え,アンテナ素子の相互結合の校正が不可欠である.今年度の研究として電波伝播モニタに相応しい校正手法に関する検討を行い,一手法を提案した,校正手法としてはフェーズドアレーにおいて,種々の手法が提案されているが,市街地・室内伝播用超解像アレーとしては,変動の少ない素子間相互結合補正行列と時間変動の大きな利得・位相誤差補正行列の各々が個別に校正可能であることが望ましいと考えられる.その点に着目し,かつ超解像法の動作原理を利用した校正アルゴリズムを開発し,実験により,その校正精度が実用的にも十分であることを確認した.
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