研究概要 |
マルチホップ無線通信により,有線網,基地局を介することなく,端末同士の直接通信,他の端末の中継による情報の伝達を実現できる.マルチホップ無線通信の応用として,端末からの情報収集技術があるが,端末の中継により情報が運ばれるため,情報収集経路の信頼性の低さ,他の端末からの情報を中継するために消費する電力,が大きな問題点となる.そのため,マルチホップ無線通信を用いた情報収集システムを実現するためには,高信頼性化,低消費電力化を実現するための新たな手法を開発する必要がある.本研究では,主にマルチホップ無線通信を用いた情報収集システムにおける端末の消費電力特性,信頼性特性を詳細な解析により明らかにすること,新たな情報収集手法を開発することを目的としている.本年度に得られた成果は以下のとおりである. (1)マルチホップ無線情報収集システムにおいて,各端末の消費電力特性,情報収集経路の信頼性特性について検討を行い,情報を受信する際の電力の消費量と情報を送信する際に必要となる電力に関して考察し,これらの電力消費を考慮できる情報収集ネットワークの数理モデルを作成した. (2)端末が送信,中継しなければならない情報量と残りの電力の関係を用いた送受信制御手法を提案し,この手法を用いることにより収集できる情報量が増加することを明らかにした. (3)幾何学的確率理論を用いて,送受信時の消費電力を考慮した場合の最大情報収集量に関して検討を行った. (4)マルチホップ無線通信と端末の移動,回線割当の関係について考察を行った.
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