研究概要 |
我々は,高度交通システム(ITS;Intelligent Transport Systems)の要素技術の一つである車々間通信システムに適した通信方式としてV-PEACE方式を提案している.これまでの研究ではシステムの基本構成に関して検討を重ねてきた.その検討を受け,本研究では実際の道路環境に近い状況を模擬して車両航行情報の伝送能力の評価を行っている.平成13年度は,主にV-PEACE方式の基本性能の評価と,そのシステムをサポートする路車間通信システムとの協調に関する検討を行っている. まず,高速道路などの直線道路における車両の動作をシミュレートし,その環境下での位置情報伝送能力について検討を行っている.V-PEACE方式では,パルス発信タイミングの検出が重要となる.そこで直線道路における車両の移動,反射波を考慮したV-PEACE方式のパルス検出に関する評価シミュレーションを行っている.その結果,路面,他車両,側壁などの反射波からの干渉にもかかわらず,送信信号電力対雑音比で130dBを与えることで車両位置と車両幅が検出可能であることが明らかとなっている.反射波の影響により残留誤差が出るが,これは反射波を生じる環境によって変化すると考えられるため,この定量的な評価が次年度以降の課題となる. また,V-PEACE方式の支援を可能とする路車間通信システムの支援方式について検討を行っている.これは,V-PEACE方式による車両間の連携に加えて安全情報を道路側から継続的に得ることを目的とし,その妨げとなる他車両による路側通信機と車両間の通信の断絶(シャドウイング)を回避するための検討である.このシャドウイングを回避する方法として,車両間ルーティングを適用した車車間通信ネットワークを利用することにより,シャドウイングによる通信途絶を大幅に改善できることが明らかとなっている.
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